こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!
前回の記事では、12のブランドアーキタイプについて詳しく解説しました。「なるほど、でも自分の会社にはどれが合ってるんだろう?」そんな声をたくさんいただきました。
実は、ブランドアーキタイプ選びでよくある失敗は「直感だけで選んでしまう」ことです。例えば:
- 「かっこよさそうだから英雄にしよう」
- 「ライバル会社が使っているから、これは避けたい」
- 「人気がありそうなアーキタイプを選ぼう」
このような選び方では、長続きするブランディングは難しいでしょう。
ブランドアーキタイプは、あなたのビジネスの「本質」を表現するためのツールです。だからこそ、しっかりとした基準とプロセスに基づいて選ぶ必要があります。
今回は、自社に最適なブランドアーキタイプを見つけるための具体的な手順をご紹介します。このプロセスに従えば、必ずあなたのビジネスにぴったりのアーキタイプが見つかるはずです。
ブランドアーキタイプを選ぶ前の準備

ブランドアーキタイプを選ぶ前に、まずは自社のビジネスについて基本的な整理をしておく必要があります。以下の3つの観点から、現状を確認していきましょう。
1. 提供価値の明確化
あなたのビジネスは、顧客にどのような価値を提供していますか?以下の質問に答えてみてください:
- 顧客の「何」を解決しているか
- なぜ顧客はあなたのサービスを選ぶのか
- 競合と比べて特に優れている点は何か
- 顧客からよく受ける感謝の言葉は何か
2. 理想の顧客像の具体化
誰に価値を届けたいのかを明確にします:
- 年齢層や性別
- 職業や役職
- 興味・関心事
- 抱えている課題
- 大切にしている価値観
3. 自社の強みの棚卸し
会社としての特徴を整理します:
- 経営理念や価値観
- チームの特徴や文化
- これまでの実績
- 技術力や専門性
- 独自のノウハウ
なぜこの準備が重要なのか
ブランドアーキタイプは、単なるキャラクター設定ではありません。それは、あなたのビジネスの本質を表現する重要なツールです。
例えば:
- 顧客第一を掲げているのに「統治者」を選ぶ
- 革新的な技術を持っているのに「普通の人」を選ぶ
- 安全性を重視しているのに「はみ出し者」を選ぶ
このようなミスマッチは、顧客に混乱を与え、ブランドの一貫性を損なう可能性があります。
準備作業のコツ
- チーム全員で考える
- 様々な視点からの意見を集める
- 現場の声を大切にする
- 具体的に書き出す
- 曖昧な表現は避ける
- 実例やエピソードを含める
- 優先順位をつける
- 特に重要な要素を明確にする
- あれもこれもは避ける
これらの準備ができたら、いよいよ具体的な選び方のステップに進んでいきます。次のセクションでは、実際のアーキタイプ選びの3つのステップについて解説していきます。
ブランドアーキタイプ選び方の3つのステップ

ブランドアーキタイプを選ぶ具体的な手順をご紹介します。
ステップ1:グループの絞り込み
まずは4つのグループから、自社に合うものを選びます。
チェックポイント
- 安定を提供:品質や信頼性を重視する
- 所属を提供:つながりや共感を大切にする
- マスタリーを提供:成長や達成を目指す
- 独立を提供:自由や探求を重視する
具体的な問いかけ
- お客様は何を求めて来られますか?
- サービスを通じて、どんな体験を提供したいですか?
- 会社として最も大切にしている価値は何ですか?
ステップ2:アーキタイプの比較検討
選んだグループ内の3つのアーキタイプを詳しく比較します。
チェックポイント
- コミュニケーションスタイルは合っているか
- 業界との相性は良いか
- 競合との差別化になっているか
- 長期的に維持できるか
比較表の作成例
項目:
・提供価値との整合性(◎○△)
・実現可能性(◎○△)
・差別化効果(◎○△)
・市場との適合性(◎○△)
ステップ3:実践的な検証
選んだアーキタイプを実際に当てはめてみます。
検証ポイント
- コミュニケーション
- SNSの投稿文章は書きやすいか
- 商品説明は自然に書けるか
- チーム全員が理解し実践できるか
- ビジュアル表現
- ロゴやデザインと合っているか
- 写真やイラストの選び方は明確か
- 色使いの方向性は定まるか
- 事業展開
- 今後の展開計画と整合するか
- 新商品開発の指針になるか
- パートナー選びの基準になるか
選択時の重要なポイント
- 必ずしも「純粋な型」である必要はありません
- 主となるアーキタイプを決める
- 補助的なアーキタイプを持つことも可能
- 時間をかけて検討することが重要です
- 一日で決めようとしない
- チーム内で十分に議論する
- 必要に応じて顧客の声も聞く
- 実践しながら微調整も可能です
- まずは仮説として始める
- 実践しながら検証する
- 必要に応じて軌道修正する
このステップを踏むことで、より確実にあなたのビジネスに合ったアーキタイプを見つけることができます。
よくある失敗パターン

ブランドアーキタイプを選ぶ際によくある失敗パターンとその対策をご紹介します。これらを知っておくことで、より効果的なブランディングが可能になります。
失敗パターン1:憧れで選んでしまう
よくある例
- 「Apple」のような革新的な企業に憧れて「魔法使い」を選ぶ
- 高級ブランドに憧れて「統治者」を選ぶ
- 人気企業の真似をして「道化師」を選ぶ
対策
- 自社の現状と強みを客観的に分析する
- 実現可能性を重視する
- 独自の価値提供を考える
失敗パターン2:顧客視点が欠けている
よくある例
- 経営者の好みだけで決める
- 社内の意見だけで決める
- 競合を意識しすぎて顧客ニーズを見失う
対策
- 顧客アンケートを実施する
- SNSでの反応を確認する
- 実際の購買理由をヒアリングする
失敗パターン3:一貫性が保てない
よくある例
- SNSの投稿がバラバラな印象になる
- スタッフによって対応が異なる
- キャンペーンごとにトーンが変わる
対策
- ブランドガイドラインを作成する
- 定期的な社内研修を実施する
- コミュニケーションの指針を明確にする
失敗パターン4:業界との不適合
よくある例
- 保育園なのに「はみ出し者」を選ぶ
- 葬儀社なのに「道化師」を選ぶ
- 会計事務所なのに「冒険者」を選ぶ
対策
- 業界の特性を十分に考慮する
- 顧客が求める信頼性を意識する
- 適切な差別化ポイントを見つける
失敗パターン5:早急に結果を求めすぎる
よくある例
- 1ヶ月で効果が出ないと変更する
- 短期的な売上だけを見て判断する
- 部分的な反応だけで評価する
対策
- 最低6ヶ月は継続する
- 複数の評価指標を設定する
- 長期的な視点で評価する
成功のためのヒント
- 段階的な導入
- まずは小規模に試してみる
- 反応を見ながら調整する
- 徐々に範囲を広げる
- チーム全体の理解
- 選んだ理由を共有する
- 具体的な実践方法を示す
- 定期的にフィードバックを行う
- 継続的な検証
- 顧客の反応をモニタリング
- 社内の実践状況を確認
- 必要に応じて微調整を行う
まとめ:ブランドアーキタイプ選びは戦略的に
今回は、自社に最適なブランドアーキタイプの見つけ方について解説してきました。
重要なポイントの整理
- 選ぶ前の準備が重要
- 提供価値の明確化
- 理想の顧客像の具体化
- 自社の強みの棚卸し
- 3つのステップで進める
- グループの絞り込み
- アーキタイプの比較検討
- 実践的な検証
- 失敗を避けるために
- 憧れだけで選ばない
- 顧客視点を忘れない
- 一貫性を保つ
- 業界特性を考慮する
- 長期的な視点を持つ
次回予告:「ブランドアーキタイプを活用した実践的マーケティング戦略」
選んだブランドアーキタイプを、実際のマーケティング活動にどう活かしていくのか。次回は具体的な実践方法をご紹介します。
- SNSでの効果的な発信方法
- 商品開発への活用法
- 広告やプロモーションでの活用
- 顧客体験の設計
- 実際の成功事例
など、より実践的な内容をお届けする予定です。
ブランドアーキタイプは、選ぶことがゴールではありません。それを活用して、どのように独自の価値を届けていくかが本当の勝負どころです。次回もお楽しみに!