こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!最近は、名古屋・春日井を中心にAIコンサルタントもしています。
「AIを使って何か作ってみたい」「自分のビジネスにLINEボットを導入したい」という声をよく聞きます。でも、プログラミングができないとAIボットの導入は難しいと思っていませんか?
実は、ノーコードツール「Dify」を使えば、プログラミング不要でAIボットが作れるんです!前回の記事「Difyとは?」では基本的な概要を解説しました。
今回は一歩進んで、Difyを使ったLINEボットの作り方をざっくり解説します。この記事を読めば、基本的なAIチャットボットが実際に動くところまで体験できますよ。
(注:技術的な基礎知識があると理解しやすい内容になっています。AIやチャットボットに少し興味がある方向けです)
【2025年最新】Dify×LINEボット作成に必要な準備物リスト
さて、Dify × LINEボットを作るために必要なものを先に確認しておきましょう。基本的には以下の3つのアカウントが必要です。
- Difyアカウント:AIボットの中身を作るためのプラットフォーム
- LINE Developersアカウント:LINEボットを作るための開発者アカウント
- Google Cloudアカウント:(必要に応じて)Difyとの連携のために使います
各アカウントは基本的に無料で作成できますが、本格的に運用する際には料金がかかる場合があります。今回は「まずは動くものを作ってみる!」という観点で進めていきます。
ちなみに、僕がRoom8でAIボットを導入した時も、最初は「とりあえず動くか試してみよう」という軽い気持ちで始めました。案外、最初の一歩を踏み出すことが一番難しかったりするんですよね(笑)
Difyの基本設定:10分でAIボットの基盤を作る方法
まずはDifyでアカウントを作成し、AIボットの基本設定を行っていきましょう。
1. アカウント作成
- Difyの公式サイトにアクセスします
- 右上の「Sign Up」をクリックして、メールアドレスを使って登録します
- 確認メールが届くので、リンクをクリックして認証完了

2. 新規プロジェクト作成
- ダッシュボードから「最初から作成」をクリック
- アプリケーションタイプで「チャットボット」を選択
- 任意の名前を付けて「作成する」をクリック
初めてDifyを使う方は、画面の案内に従ってAPIキーの設定なども行います。OpenAIのAPIキーをお持ちであれば、そちらを設定することもできます。
3. APIキーの取得
Dify内で作成したアプリケーションのAPIキーは、後でLINEボットと連携する際に必要になります。
- 作成したアプリの設定画面に移動
- 「APIアクセス」タブを選択
- 右上の「APIキー」ボタンをクリック
- 「新しいシークレットキーを作成」を押す
- 表示されるAPIキーをメモ(このキーは一度しか表示されないので注意!)
この段階では、まだボットの中身は何も設定していませんが、APIの連携準備はできました。次に、ボットの頭脳となる部分を設定していきましょう。
ちなみに僕がRoom8のボットを作った時は、この段階で「あれ?これだけ?意外と簡単じゃない?」と思ったものです。
AIボットの頭脳を作る:Difyの3つの主要コンポーネント
Difyでボットを作るときに理解しておきたいのが、3つの主要コンポーネントです。これらを組み合わせることで、ボットの「頭脳」を設計します。
1. 手順(プロンプト)- ボットの「指示書」
手順、つまりプロンプトは、AIボットにどう振る舞うべきかを指示する部分です。例えるなら、アルバイトの新人さんに渡す業務マニュアルのようなものです。
例えば、カフェのボットであれば:
あなたはカフェ「Coffee Room8」の案内をするアシスタントです。
丁寧な言葉遣いで、温かみのある返答をしてください。
営業時間や場所、メニューについての質問に答えてください。
予約についての質問があれば、電話番号と空き状況を案内してください。
この指示によって、AIボットはカフェのスタッフとしての役割を理解します。言葉遣いや対応範囲も定義できるわけです。
2. 変数 – 状況に応じて変わる値
変数は、状況によって変化する情報を入れる「箱」のようなものです。例えば:
- ユーザー名
- 現在の日時
- 特別なキャンペーン情報
これらを変数として設定しておくと、「こんにちは、{{user_name}}さん!」のように、個別対応ができるようになります。必要に応じて設定しましょう。
3. コンテキスト – ボットの「知識」
コンテキストは、ボットが参照する知識ベースです。例えるなら、社員に渡す会社の資料集のようなもの。カフェの例では:
- 営業時間(平日10:00-19:00、土日祝11:00-18:00)
- メニュー一覧と価格(ブレンドコーヒー 450円、カフェラテ 550円…)
- 店舗の住所・アクセス情報
- よくある質問と回答
この情報をコンテキストとして与えることで、AIボットは「知識」に基づいた正確な回答ができるようになります。

この3つのコンポーネントをバランスよく設定することで、非常に優秀なAIボットが作れるんです。最初は簡単な設定から始めて、少しずつ改良していくのがおすすめです。
Room8のボットも、最初は本当にシンプルなものでした。「コワーキングスペースの案内をする」という基本的な指示と、営業時間や料金表だけを入れた状態でスタートしたんですよ。
LINE Developersでボットアカウントをセットアップしよう

Difyでボットの「頭脳」ができたら、次はLINEボットとして形にしていきましょう。ここからはLINE Developersの設定が必要になります。
1. LINE Developersアカウント作成
- LINE Developersにアクセス
- LINEアカウントでログイン(通常のLINEアカウントで大丈夫です)
- プロバイダーを作成(会社や個人の名前でOK)
2. Messaging API設定
- 「新規チャネル作成」をクリック
- 「Messaging API」を選択
- 必要事項を入力
- チャネル名:ボットの名前(ユーザーに表示されます)
- チャネル説明:ボットの説明
- 大業種・小業種:該当するものを選択
- メールアドレス:連絡先
- 利用規約に同意して「作成」
3. チャネルアクセストークンの取得
- 作成したチャネルの「Messaging API設定」タブへ
- 「チャネルアクセストークン」の「発行」ボタンをクリック
- 表示されたトークンをメモ(これも後で使います)
4. Webhook URLの設定準備
Webhook URLは、LINEからのメッセージをDifyに渡すための橋渡し役です。ここでは、後ほど設定することになるURLの欄を確認しておきましょう。
- 「Webhook設定」の項目を確認
- 「Webhook URL」の入力欄を確認(後で入力します)
- Webhook URLを入力した後に「Webhookの利用」をオンにすることになります(現時点ではまだオンにできません)
この段階ではまだWebhook URLを入力できませんが、次のステップでGoogle Cloudを使って、DifyとLINEを橋渡しする仕組みを作ります。
最初にLINE Developersを触った時は「なんだか専門用語が多いな〜」と思いましたが、実は手順通りに進めるだけなので、難しく考えなくて大丈夫です。
Google Cloudで橋渡し役を設定する:Webhook連携の基本

ここからが少し技術的な部分ですが、ざっくり言うと「DifyとLINEの間で情報をやり取りする仕組み」を作ります。Google Cloudの無料枠を使用すれば、コストをかけずに設定可能です。
1. Google Cloudアカウント作成
- Google Cloudにアクセス
- Googleアカウントでログイン
- プロジェクトを新規作成
初めて使う場合は、クレジットカード情報の登録が必要ですが、適切に設定すれば無料枠内で利用できます。
2. Cloud Functionsの設定
- Google Cloudコンソールから「Cloud Functions」を検索して選択
- 「関数を作成」をクリック
- 基本的な設定
- 関数名:任意(例:line-dify-bridge)
- リージョン:asia-northeast1(東京)がおすすめ
- HTTP トリガー:有効
- 認証:未認証の呼び出しを許可
- ランタイム:Python 3.9(または最新バージョン)
3. コードの概要
Cloud Functionsに設定するコードは、大まかに以下のような処理を行います:
- LINEからのメッセージを受け取る
- 受け取ったメッセージをDifyのAPIに送信
- DifyからのAI回答を取得
- 回答をLINE APIを使って返信
実際のコードは少し複雑ですが、この流れを実現するものになります。詳細なコードについては、noteの有料記事で解説していますので、そちらをご覧ください。
4. 環境変数の設定
- 「ランタイム、ビルド、接続設定」を展開
- 「ランタイム環境変数」に以下を追加
- DIFY_API_KEY:先ほどDifyで取得したAPIキー
- LINE_CHANNEL_ACCESS_TOKEN:LINE Developersで取得したアクセストークン
5. デプロイ
「デプロイ」ボタンをクリックして、関数をデプロイします。デプロイが完了すると、「トリガー」のURLが表示されます。このURLがWebhook URLになります。
このURLをコピーして、先ほどのLINE DevelopersのWebhook URL欄に貼り付け、「Webhookの利用」をオンにします。
ここまでの設定は少し複雑ですが、一度設定してしまえば、あとはほぼ自動的に動作します。技術的な詳細や実際のコード例は有料記事で詳しく解説しているので、実際に構築する際はそちらも参考にしてみてください。
ボットの動作確認:実際に会話してみよう
さて、ここまでの設定が完了したら、実際にボットと会話してみましょう。動作確認の手順は以下の通りです。
1. LINEボットを友だち追加
- LINE Developersの「Messaging API設定」タブを開く
- 「QRコード」または「友だち追加」ボタンからボットを友だち追加
2. テストメッセージを送信
- 追加したボットにメッセージを送信してみる
例:「こんにちは」「営業時間を教えて」など - ボットからの返答が来れば成功!
3. トラブルシューティング
もし返答が来ない場合は、以下を確認しましょう:
- LINE DevelopersでWebhookがオンになっているか
- Google Cloud Functionsのログでエラーがないか
- 環境変数(APIキーなど)が正しく設定されているか
エラーが出る場合は、Cloud Functionsのログを確認すると、原因がわかることが多いです。

ここまでくれば、基本的なAIチャットボットの完成です!最初は「こんにちは」と返すだけのシンプルなボットかもしれませんが、それでも大きな一歩です。
実際に動作しているRoom8のテストLINEボットはこちらから友達追加できますので、ぜひ試してみてください!
👉 Room8テストボット
プログラミングの知識がなくても、ここまでの手順で基本的なAIボットが作れるなんて、すごい時代になりましたよね。
AIボットの発展的な活用法:Webhookで広がる可能性
基本的なチャットボットが動き始めたら、次は機能を拡張していくフェーズです。ここでは、Webhookを使った発展的な活用法について簡単に触れておきます。
予約システムとの連携
Webhookを活用すれば、GoogleカレンダーのAPIと連携して予約システムも構築できます:
- ユーザーが「〇月〇日に予約したい」と伝える
- ボットがGoogleカレンダーAPIで空き状況を確認
- 「13時と15時に空きがあります」と案内
- ユーザーが時間を選択すると、カレンダーに予約を登録
データベース連携による記憶力の向上
NoSQL(FirestoreなどのGoogle Cloud)やAirtable、Notionなどと連携すれば:
- ユーザーの質問履歴を保存
- よくある質問パターンを分析
- 顧客情報と紐づけて個別対応
複数ツールとの連携例
- Googleスプレッドシート:アンケート回答や顧客データの管理
- Slack:重要な質問があった場合に担当者に通知
- メール送信:問い合わせ内容の自動転送
- 決済システム:商品購入や予約時の支払い処理
これらの発展的な活用には、もう少し技術的な知識が必要になりますが、基本的な仕組みは同じです。Webhookを介して外部サービスと連携することで、ボットの可能性は無限に広がります。
いきなり複雑な機能を実装しようとせず、まずは基本的なチャットボットを作って、徐々に機能を追加していくのがおすすめです。一歩ずつ進めていけば、意外とできることはたくさんあります。
運用コストはどのくらい?月額料金の目安
ここまでの解説で基本的なボットの作り方はわかりましたが、「実際の運用コストはどれくらいかかるの?」という疑問があるかと思います。そこで、主要なAIモデル別の月額費用の目安を紹介します。
以下は、1日あたり約100回のメッセージのやりとり(月間約3,000回)を想定した場合の月額費用です:
AIモデル | 月額費用(概算) ※1日100回利用の場合 | 特徴 |
---|---|---|
OpenAI (GPT-4o) | 約5,000円〜8,000円 | 最高性能だが比較的高コスト |
Google (Gemini 2.0 Flash Lite) | 約800円〜1,500円 | バランスの良い性能でコスパ最強 |
Anthropic (Claude 3 Haiku) | 約3,000円〜5,000円 | 中間的な価格帯 |
OpenAI (GPT-3.5 Turbo) | 約500円〜1,000円 | 低コストだが性能も控えめ |
※全てのモデルは従量課金制(使った分だけ支払う方式)です。
小規模事業やスモールスタートには超お得!
実は、問い合わせ数が少ない場合、コストはさらに下がります。例えば:
- 1日1件程度の問い合わせ(月間30件程度)の場合
- GPT-4o(最高性能モデル)でも月額約80円程度
- Gemini 2.0 Flash Liteなら月額約30円程度
これなら、「とりあえず試してみよう」という気持ちで始められますよね。Room8でも最初は問い合わせが少なかったので、ほぼ無料で運用できていました。
プラットフォーム利用料について
アプリケーション稼働に必要なプラットフォーム費用についても確認しておきましょう:
- Dify: 使い方によって必要なプランが変わります
- Dify内蔵のAIモデルを使う場合:
- 初回登録時に200メッセージ分のクレジットが付与されますが、これは一度限りです
- この200メッセージを使い切ると、有料プラン(Pro版など)への登録が必要になります
- 自分のAI APIキー(OpenAI, Gemini等)を設定して使う場合:
- 基本的な利用なら無料のサンドボックスプランで十分です
- この場合、メッセージ数の制限はなく、外部APIの料金のみがかかります
- 今回の記事で解説したような連携方法では、自分のAPIキーを使うため、サンドボックスプランで継続的に利用できます
- Google Cloud Functions: 無料枠の範囲内であれば、月額0円
- 200万回/月までの呼び出しが無料
- 一般的な使用量であれば、この制限を超えることはほぼありません
Room8のボットでは、コストを抑えるためにGoogle Gemini 2.0 Flash Liteを使用していますが、それでも十分に高品質な応答が得られています。最初は無料枠や低コストなモデルから始めて、必要に応じてスケールアップするのがおすすめです。
この方法なら、初期費用をほぼゼロにしつつ、月額数十円〜数千円程度から本格的なAIボットの運用が可能です。これは従来型の開発と比較すると、圧倒的なコストメリットがありますね。
もっと詳しく知りたい方へ:今後の展開
基本的なDify × LINEボットの作り方をざっくりご紹介しましたが、いかがでしたか?ここまで読んでいただいた方なら、AIボットの可能性に興味を持っていただけたのではないでしょうか。
今後公開予定のnote記事
より詳細な手順やトラブルシューティング、発展的な活用法については、近日中にnoteで詳細解説記事を公開予定です!
近日公開予定の内容:
- DifyとLINEの詳細な接続手順(コード付き)
- よくあるエラーとその解決法
- データベース連携の具体的な方法
- ビジネスでの活用事例と設定例
noteアカウントのフォローをしていただければ、記事公開時にお知らせします。
👉 noteアカウント
お問い合わせ・相談について
「AIボットを導入したいけど、自分では難しそう…」という方は、お気軽にご相談ください。名古屋・春日井エリアを中心にAIコンサルティングも行っています。
春日井のコワーキングスペースRoom8にお越しいただければ、実際のボットの動作も見ていただけます。
さいごに
AIの力を借りれば、個人や小規模事業でも、プログラミングの専門知識なしに高度なボットが作れる時代になりました。まずは小さく始めて、徐々に機能を拡張していくのがおすすめです。
この記事が皆さんのAI活用の第一歩になれば嬉しいです!
何か質問があれば、コメント欄でお気軽にどうぞ。
次回の記事もお楽しみに!