業務自動化は“命令型”から“意味型”へ。小さな会社でもAIでDXが始まる時代へ

こんにちは、春日井コワーキングスペースRoom8オーナーの鶴田です!

最近は、名古屋・春日井を中心に「AIを使った業務効率化」の相談も増えてきて、
気づけば“AIコンサルタント”みたいなこともしています。

さて、今回のテーマはちょっと技術的なんですが、
僕にとってはまさに「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の核心とも言える話。

そのキーワードは──
「命令型自動化」から「意味型自動化」へ。

「なにそれ?」と思った方、大丈夫です。
一言で言えば、

これまでの自動化は、
「こうしたら→こうする」っていう“指示通り”にしか動かないロボットだったのが、
これからは「状況を見て意味をくみ取り、自分で判断して動いてくれるAI時代」に入った、って話です。

つまり、「if-thenのルール」ではなく「文脈理解による自動化」へ。
僕がRoom8の業務で取り組んでいる自動化も、まさにこの変化の真っ只中にあります。

この記事では、そんな“意味型自動化”の可能性と、
僕がそれを実務でどう使っているのか?というリアルな話をお届けします。

ちょっと未来っぽい話に聞こえるかもしれませんが、
中小事業者や一人社長でも、ぜんぜん手が届く話なんです。

命令型自動化ってなに?

命令型自動化ってなに?

ちょっと先にお断りしておくと、
この「命令型自動化」って言葉、別に業界標準の用語でもなんでもなくて、
僕が勝手にそう呼んでるだけなんです。笑

でも、これがけっこう本質を突いてると思ってて。

じゃあその「命令型自動化」ってなにかというと、
簡単に言えば「こうしたら→こうする」っていう、明確なルールをもとに動く自動化です。

たとえば、

  • Googleフォームに入力があったらスプレッドシートに追加
  • Stripeで支払いがあったらGmailで通知
  • スプレッドシートに「請求書払い」って書いてあったらMisocaにデータ送る

──みたいなやつですね。

ツールで言えば、ZapierとかMake(旧Integromat)が代表的。
最近だと、GAS(Google Apps Script)を使って「こういうときにこう動いて」って命令を組むのも、この命令型の一種。

で、これらのツールって、ノーコードでも触れるし、仕組みさえ理解すれば便利です。
僕も最初はめちゃくちゃ助けられてきました。

でも、便利には便利なんだけど……
限界も見えてくるんですよ。

限界その1:ルールが増えるほどカオス

最初は「この条件のときだけ通知を飛ばす」みたいにシンプルだったのが、
処理が増えてくると、「Aのときはこう、でもBでCを含んでたら例外で、DがEだったら別の対応」みたいな、
if-then-地獄が始まります。

で、こういうのって、誰が見てもすぐ理解できる仕組みにはなりづらい
ルールを書いた本人すら「これ、どうなってたっけ?」ってなるやつです。

限界その2:想定外にめっぽう弱い

現場ではよくある話なんですが、
「この人、クレジットカードって書いてあるけど実は銀行振込希望だった」とか、
「“口座振替”と書いてあるけど、Paidじゃなくて別のサービスがいいって後出しされた」とか、
人間なら“察せる”けど、命令型のツールには察せないような場面、めちゃくちゃ多いです。

命令型の自動化って、結局のところ「条件通りにしか動けない」わけで、
ちょっとでも予想外のことが起きると、途端に止まるか、変な動作する

限界その3:“意味”を理解できない

一番大きな問題はここかもしれません。
命令型の仕組みって、「文字列」を見て判断することはできても、
“意味”や“意図”を読み取って処理を変えるってことができないんです。

たとえば、
「この人、メッセージで“法人登記も考えてる”って書いてあるけど、そうなると契約書の内容変えなきゃな」
みたいな判断って、人間ならできますよね?

でも、命令型のツールにそれをやらせようと思ったら、
「“法人登記”というキーワードが含まれていたら…」みたいな、
なんとも泥臭いロジックを書きまくらないといけない。

つまり、命令型の世界では「意味を読み取る」なんてできない。
そこにはいつも、“命令された通りにしか動けない存在”という限界があるんです。

だからこそ、僕は次のステップとして、
「意味型自動化」という考え方が必要だと思っています。

意味型自動化とは?

ここからが、僕が今まさに取り組んでいるテーマ──「意味型自動化」の話です。

これもまた、正式な業界用語というわけではなくて、僕が勝手にそう呼んでる概念なんですが、
要は「ルールじゃなくて“意味”を読み取って動いてくれる自動化」のことです。

たとえば、Googleフォームに入力された文章や選択肢を見て、
「この人はこのプランだな」「支払い方法は請求書が合ってそうだな」って、
文脈やニュアンスから“判断”して、適切な処理を選んでくれるような仕組み。

しかも、その判断はあらかじめルールで決めておく必要がなくて、
AIが“意味”をくみ取って動いてくれるんです。

たとえば僕がやってる処理で言うと、

  • フォームの回答内容を見て、「この人は夜だけ使いたい」って意図を読み取って、Nightプランを自動選択
  • 「銀行振込希望」と書いてあれば、Misoca連携を選び、
  • 「Paidに登録済です」と書かれていれば、口座振替の処理はスキップ

みたいなことが、1つのルールに縛られず、全体の文脈を見て“柔らかく判断”できるんですよね。

これ、ZapierやMakeにはできません。
なぜなら、あれらは「どのカラムが何になっているか?」という断片的な情報しか見られないから。

でも、AI──たとえばChatGPTやGemini APIみたいな生成AIは、
複数の情報を一度に読み込んで、「全体としてこの人はどういう意図で申し込んでるのか?」を理解することができる

それってつまり、ルールじゃなく「意味」をベースに動けるということ。

今までは、プログラムを書くときに矛盾が起きないように、
ひとつひとつ細かく条件を積み重ねていました。
でも今は、「こういう場合はどうしたらいい?」って人間に近いレベルで相談できる存在(AI)が出てきた。

それなら、もうロジックを全部書く必要はない。
むしろ、自然言語で処理の意図を伝えて、判断させた方が早くて柔軟なんです。

この方向性こそが、僕の中で「意味型自動化」と呼んでいる考え方です。

僕の取り組み:Room8 DXプロジェクトの実例

ここからは、実際に僕がRoom8の業務でどう「意味型自動化」を活用しているかという話です。

取り組んでいるのは、入会希望者の申込みから決済・契約までの一連のフロー。
コワーキングスペースなので、入会希望者はまずGoogleフォームから申請を送ってくれます。

それをもとに、僕はこれまでこうやって処理していました。

まずスプレッドシートをざっと見て、

  • プラン名(たとえば「Nightプラン」)
  • 支払い方法(たとえば「クレジットカード」)

この2つを頭に入れてから、Stripeを開いて、

  1. 顧客情報を作って
  2. 入会金を単発で請求して
  3. 同じカードでサブスクリプションも登録して(初月無料、翌月1日スタート)

という流れ。

これね、手作業でやる分には別にそこまで面倒でもないんですよ。
1日1件あるかどうか。多くても月に5件〜10件程度ですから。

でも、これを「プログラムで自動化しよう」と思うと、話は一気に変わります。

  • プランが複数あって、料金も時間帯も違う
  • 支払い方法が3種類(クレカ/請求書払い/口座振替)
  • パターンに応じて処理の分岐も異なる
  • 入会金は請求するけど会費は翌月から…みたいな微妙なタイミング処理もある

これ全部を if 文で条件分岐して処理を矛盾なく書こうとすると、まあまあ大変なんです。

もちろん、大手サービスみたいに毎日何百件も申し込みが来るなら、
がっつり時間をかけてしっかりプログラム組む価値はあります。

でも、月に数件の処理にそこまでの工数をかけるのって、現実的じゃない。

そこで登場するのが「意味型自動化」です。

リアルなプロンプトの中身

僕の場合は、GAS(Google Apps Script)からスプレッドシートの申込データを読み取って、それをそのままAIに送ってこう聞きます。

「この申込み内容を読んで、どのプランで、どんな支払い方法で、何を処理すればいいか教えて」

と言っても、実際にはもっとしっかりしたプロンプトを書いていて、内容としてはこんな感じです。

あなたは、フォーム回答データを解析し、顧客情報・選択されたプラン・支払方法を特定し、
プランDBとオプションDBを参照して、Stripeサブスクリプション作成に必要なPrice IDを特定するアシスタントです。
以下のステップに従って、name, email, planName, options, paymentMethod を抽出し、
条件に合ったPrice IDを探してJSON形式で返してください。

かなり自然言語に近い形で命令していて、コードというよりAIへの会話に近い感覚です。

出力されるのは、こういったJSON形式のデータです:

```json
{
"name": "山田太郎",
"email": "[email protected]",
"planName": "ナイトプラン",
"options": ["ロッカー大"],
"paymentMethod": "クレジットカード",
"basePriceId": "price_abc123",
"optionPriceIds": ["price_xyz456"]
}

なぜ今これが可能になったのか?

ここまで読んで、「それって最近の話なの?」と思った方もいるかもしれません。

その答えは──「はい、まさに“今だからこそ”できるようになった話」です。

なぜかというと、数年前までのAIって、こんな柔軟なことはできなかったんです。
「意味を理解して適切な処理を判断する」なんて、完全にSFの世界でした。

でも2022年後半にChatGPTが登場して、そこから生成AIの世界は一気に進化。
特に「GPT-4」や「Gemini 1.5」みたいな大規模言語モデル(LLM)は、
人間が読んで理解するように、文章の“意味”を捉えて判断することができるようになった。

たとえば、

  • フォームの記入内容がちょっと曖昧でも意図をくみ取る
  • 情報が複数箇所にまたがっていても、文脈をもとに整理する
  • 一連の流れの中で、矛盾のない処理順を組み立てる

といったことが、コードを書かずに自然言語だけでできるようになったんです。

僕がやっているプロンプトも、まさにそれを活用しています。
「この文章を読んで、どのプランか、どの支払い方法か判断して」ってお願いするだけで、
ちゃんと意味をくみ取って、処理の指示を返してくれる。

これって、言い換えれば「AIが判断ロジックを肩代わりしてくれる時代が来た」ってことです。

今までは、

  • どんな条件のときに
  • どの処理を
  • どういう順番でやるか

という“命令文”を全部プログラマーが書いていた。
でも今は、「何をしたいか」さえ伝えれば、それをAIが実現してくれるようになった。

命令型から意味型への進化は、まさにこの技術革新によって可能になったわけです。

小規模事業者にとってのDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)って、
ここ数年で一気にバズワード化しましたよね。

でも、実際にその恩恵を受けてきたのは、
従業員が100人以上いるような企業や、予算に余裕のある中堅・大企業ばかりでした。

たとえば、従業員が1000人いる会社がDXに取り組んで、
1人あたり月に2時間の業務削減ができたとします。
すると、合計で月2000時間、コスト換算すれば400万円の削減効果です。

これなら、数百万円かけてシステム開発や業務改善をしても、十分に“元が取れる”。

でも、スタッフ5人の小規模事業者だとどうでしょう?

同じように1人2時間の削減ができたとしても、合計で月10時間、2万円分の効率化です。
これでは、100万円以上する業務システムなんて到底導入できません。

しかも、やっている業務の複雑さ自体は、大企業と大差ないことも多い。
たとえば、入会処理や請求対応、契約作業など、業務の流れは規模に関係なく発生するんですよね。

なのに、“自動化しようとした瞬間にコストが跳ね上がる”のが、これまでの現実でした。

ここにAIの登場が革命をもたらすと思うんですよね。

処理の内容をわざわざコードで分岐させたり、条件分けを緻密に設計したりしなくても、
AIに「こういうときはこうしたい」と自然言語で指示するだけで、自動で判断・実行してくれる。

しかも、外注で100万円かかっていたような仕組みも、
生成AI+API+少しのスクリプトで、1/10以下のコストで実現できる時代になったんです。

つまり今は、
“DX=大企業のためのもの”という構図が崩れつつある転換点に来ていると思っています。

そして、僕がRoom8で進めている「意味型自動化」こそが、
“一人で事業を回すためのリアルなDX”の第一歩になるんじゃないか。
そんな手応えを感じています。

まとめ:これからの自動化は“意味”がカギになる

ここまで紹介してきたように、
僕がRoom8で進めている自動化は、ただの業務効率化ではありません。

むしろ、「少ない件数でも成り立つ自動化」を、
“意味”に基づいた判断によって実現するという、新しいやり方です。

これまでのDXは、大企業や従業員100人以上の中堅企業向けのものでした。
でもAIの進化によって、「一人でも、少人数でも、元が取れるDX」が現実的になった。

しかも、それを可能にしているのは、
コードじゃなくて、“言葉”=自然言語です。

やりたいことの“意図”をAIに伝えるだけで、
if文を1行も書かずに、現場で使える自動化が実現できる。
これはまさに、命令型から意味型への大きなシフトだと思っています。

こうした仕組みは、まだ始まったばかりです。

僕自身、Room8のDXプロジェクトを通じて日々試行錯誤しながら、
どこまで自動化できるのか?どうすれば他の人にも使ってもらえるのか?を探っています。

でもひとつ確かなのは、
このアプローチが「大きな組織じゃないとできないもの」ではなくなったということ。

一人でやってるからこそ、
「意味で動く自動化」の価値はより大きくなる。

そんな未来を信じて、僕はこれからも“意味型自動化”を深めていこうと思っています。

引き続き、Room8ブログではこの取り組みの進捗や、
具体的なプロンプト、コードの工夫などもシェアしていきます。

興味のある方は、ぜひRoom8のWebサイト(https://www.room8.co.jp/)や、
note(https://note.com/room8inc)もチェックしてみてください。

「うちも同じような自動化できるかな?」という方がいれば、
ご相談も大歓迎です。お気軽にどうぞ!

この記事を書いた人

コワーキングスペース 代表 鶴田 賢太

「AI系」起業アドバイザー 鶴田賢太です
春日井・名古屋で コワーキングスペース「Room8」 を運営しながら、起業家をサポートしています。

もともとは 簿記1級 から始まり、ITエンジニア、マーケティング、補助金、財務相談と、いろんな分野を経験してきました。でも、これからの時代は AI。今は 生成AI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)を駆使して、起業を加速させる方法 を探求しています。

Webサイト制作は 100社以上、SEO対策も得意。補助金申請も 15回以上サポート してきました。けど、これからは AIをどう活用するかが、起業の成否を分ける 時代。Room8では、AI活用の相談も大歓迎です。

このブログでは、AI・IT・マーケ・補助金 など、起業に役立つ情報を発信していきます。AIを武器にしたい人、ぜひRoom8に遊びに来てください!